神子畑鋳鉄橋: 日本の工業遺産と歴史的アーチ構造

神子畑鋳鉄橋(かみこはたちゅうてつきょう、Kamikohata Cast Iron Bridge)は、日本の兵庫県朝来市佐嚢地区に位置し、神子畑川に架かる鋳鉄製のアーチ橋です。この橋は1883年から2年の歳月をかけて神子畑鉱山で採掘された鉱石を生野の生野精錬所まで輸送するための鉱石運搬道路の一部として建設されました。道路の全長は約16kmで、神子畑川は円山川の支流であり、国道429号沿いに東西に流れています​。

神子畑鋳鉄橋は日本に現存する鉄橋としては三番目に古いものとされています。しかし、最も古い心斎橋(大阪)は錬鉄製、次に古い弾正橋(東京)は錬鋳混用であるため、神子畑鋳鉄橋は全鋳鉄製の橋としては日本最古のものとなっています。この橋は木橋、石橋、煉瓦、そして鋳鉄、錬鉄、鋼鉄へと進化してきた日本の橋梁材質の歴史において、過渡期的な存在とされ、鋳鉄橋発展史上の最終段階を象徴するものとして、歴史的価値が認められています​。

また、神子畑鋳鉄橋は、明治18年(1885年)に架けられ、国の重要文化財や経済産業省の近代化産業遺産、さらには日本遺産「播但貫く、銀の馬車道 鉱石の道」の構成資産にも指定されています。この橋は生野鉱山開発を担ったフランス人技師団の技術指導の下、日本人技術者によって設計・施工されました​​。

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